比較広告資料館 弁理士 山口朔生
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比較広告の分類
目次
アンケート比較
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一番比較
これだけ比較
性能比較
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あやかり比較
コンパチ比較
記事中比較
仮想比較


これだけ比較
「一番比較」という分類があった。「キリンラガービール、日本一ください」とか「ロンドンへ一番多く飛んでいる週17便」といったパターンだ。しかし「一番」は1社、1商品の場合だけに限るだろうか?
「ロンドンへ17便」飛んでいる航空会社が複数あったとしても、「当社が一番」という広告はウソとはいえない。こうした「複数一番」はウソではない、しかし「一番」というのは何かおかしい。言葉や理屈の遊びではなく、実際に「一番がふたり」といった争いがあるのだ。

広告の実際
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タバコの中で一番タールが少ない
「ザ・ワシントン」
1988年7月号
アメリカンブランズ社とレノルズタバコ社は永遠のライバル。そのレイノルズがタール2mgのナウの売り出しに際して道路沿いの立て看板に次のように広告を出した。「ナウはタバコの中でタールが一番少ない。」ところがライバルのアメリカンが看板の撤去を求めて訴えた。訴えた1日前に売り出したアメリカンの新製品「カールトン83」もタールが同じ2mgだったのだ。
訴えられたレイノルズは反論した。何もウソをいっていない。両者のタバコも他社に比較すれば「一番」少ないのだし、「ナウだけ」とはいっていない、と。この争いではアメリカン側が、消費者をミスリードしているという決定的な証拠を出せず、看板を撤去させることができなかった。しかし「一番」と「これだけ」の違いの重要さが判る事件である。

「NECだけ」
「日本経済新聞」
平成6年11月15日
NECのプリンタの比較広告だ。「WPS対応−NECだけの最先端プリンタです」といっている。「NECだけ」なのだから比較の対象は全世界、すべてのプリンタである。
これが「一番比較」だったらどうか。「カールトン」と「ナウ」の争いのように複数のプリンタが同じ機能を持っていたら、「複数一番」の可能性がでてくる。その結果、消費者が思わぬミスリードをされる可能性だってある。しかし「NECだけ」なら消費者の誤解を生む心配はないといえるだろう。

「社会党だから」
「日本経済新聞」
古くなるが平成7年の選挙の際の当時の社会党の広告である。「社会党だからできました。」という比較だ。
では比較の対象はどこだ?「自民党ではできなかった。新進もできない」と、2党の名前を挙げている。しかし比較の対象は2党だけではないはずが、すべての党との比較がおわっているからこそ「社会党だけ」と言っているのだろう。
他のすべてのライバルと比較して、排除できるのが「これだけ比較」なのである。

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