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「違うと思っているでしょう。だけど実は同じなんだよナ」という比較が、「確認比較」だった。それとはちょっと趣を異にするグループを「あやかり比較」と名づけてみた。 このグループでは、まずライバルの知名度を利用して比較する。そこまでは「確認比較」と類似する手法だ。しかし「同じだ」といいながら、しかしその後で、実は「ちがうんだ」、と強調する点で他の比較とはまた一味違うのである。 なんだそりゃ?では実際の広告を見てみよう。 |
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広告の実際
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ターモイルはしゃれた筒に入った香水である。その側面にはこう書いてある
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ターモイル (2ドル99セント) |
「ディオールのプアゾンをお好みなら、きっとお気に召すでしょう。当社のターモイル。」 他社の有名な高級香水「プアゾン」のブランドを引用して自社の無名の香水「ターモイル」と比較するやり方だ。「きっとお気に召すでしょう」が「同んなじだ」と意味しているわけだ。自社の香水の容器に堂々と他社の商標を使って行っている比較である。 そしてこの手の商品はターゲットストアーのようなスーパーで扱っているのだが、それが2ドル99セント、300円なら買い易い。比較された「プアゾン」なら25ドルもするのだから。 だからこの表現は、商品は「おんなじだ」。だけど価格は「違うんだ」、という比較、すなわち名づけて「あやかり比較」なのである。

日本での争い
似たような香水は日本でも発売されていた。そして裁判で争われたのである。昭和52年のこと、ジュンアンドカンパニーと称する日本のメーカーが「スイートラバー」と名づけた香水を売り出した。しかし値段が勝負といっても、無名のメーカーの商品では手に取ってもらえない。そこで番号を付けた。その番号を有名な香水と対応させた。例えばこうだ。
| スイートラバー120 |
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世界の名香のタイプでいえばミスディオール |
| スイートラバー121 |
世界の名香のタイプでいえばシャネル5 |
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ミスティック インプレッション (3ドル94セント) |
香りは「おんなじだ」。だけど価格は「違うんだ」、という比較、すなわち「あやかり比較」である。 比較されたディオールほか10社がジュンを訴えた。理由は消費者の誤認であり、その結果営業上の利益を害された、というものだった。 その争いで香水の配合が高度の創造的作業である点が強調された。だから同一の香りとはありえない。それを同じ香りが手に入る、と広告している。これは消費者に誤認を生じさせる行為だ、と。 しかし裁判所はディオールの主張の誤りを指摘した。ジュンは香りの「調子」「タイプ」と表現している。香りが「同一」とはいっていない。だから消費者も「同一」だとは誤認していないのだ、と。 この裁判であやかり側が勝った。しかしこの攻防で分かるとおり、「あやかり比較」は一定の限度をわきまえないと「タダ乗り」と攻撃される危険性をはらんでいるのである。
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